2010年6月3日木曜日

家電製品ミニレビュー - パナソニック「ホームベーカリー SD-BMS101

家電製品ミニレビュー - パナソニック「ホームベーカリー SD-BMS101

パナソニック「ホームベーカリー SD-BMS101」前編

〜蒸しパンが作れる“業界初”のスチーム機能
by 正藤 慶一

焼きたてのパンが食べたい!

パナソニックのホームベーカリー「SD-BMS101」
 家電Watchがはじまって以降、さまざまな製品を試してきたが、意中の製品は試せていなかった。それは“ホームベーカリー”だ。

 ホームベーカリーとは、その名の通り家でパンを焼くことができる家電製品。小麦粉やベーキングパウダーといった材料を投入してスイッチを入れるだけで、自動で生地をこねたり発酵したりして、こんがりと焼きたてのパン焼きあげてくれるのだ。

  何と言っても、焼きたてのパンが家に居ながら味わえるのが最大のメリット。こんがりと焼けた小麦の匂い、もっちりとして弾力のある白い中身に、カリッとサ クッとした皮……考えただけでもお腹が鳴る。近所のパン屋では、焼きあがり時間ピッタリに行かない限り難しい。そんな焼きたてのパンを、思いのまま食べて みたい! ……と、ひそかに思い続けていた。

 このホームベーカリー、このところ非常に人気のようだ。社団法人日本工業会によると、2008年度のホームベー カリーの需要は、前年度比で120%に増加している。炊飯器や電子レンジのような必須の製品ではないのに、数字をしっかりと伸ばしているのである。昨年あ たりから、不況を受け内食(うちしょく)の需要が高まっている影響かもしれない。

 というわけで、社会的にも個人的にもニーズのあるこのジャンルを見逃すワケにはいかない。今回はホームベーカリーを取り上げることにしよう。。

蒸しパン、白パン、米粉100%パン……最新モデルは調理メニューが増加

   さて、ホームベーカリーとはいっても、メーカーは意外と多い。パナソニックに三洋電機、東芝に象印、ツインバードといった家電メーカーはもちろん、自動 車製品なんかも取り扱うエムケー精工というところも出している。この4月には、ティファールがフレンチバゲット用のホームベーカリーも投入するとのこと。 ホームベーカリーは戦国時代を迎えている。

 そこで選んだのは、パナソニックの「SD-BMS101」である。

メーカー パナソニック
製品名 SD-BMS101
希望小売価格 オープンプライス
購入場所 Amazon.co.jp
購入価格 25,498円


「SD-BMS101」では、通常のパンケース(中央)のほか、スチームケース(左)が同梱される。これが、蒸しパン、白パンという新メニューを実現するのだ
 熱心な読者なら、「前もパナソニックだったじゃん!」と突っ込まれるかもしれない。実は家電Watchでは、2009年7月に、この1年前のモデル「SD-BM102」を取り上げていた。

 しかし、今年と前年モデルは大きく違っている点がある。それが調理メニューの数である。

  以下の表を見てほしいが、今回のモデルでは“白パン”“蒸しパン”“米粉パン(100%。グルテンあり/なし両方とも可)”という3種類のメニューが追加 された。特に蒸しパン、白パンの2点は、他のメーカーのホームベーカリーでは作ることができない“業界初”のメニューとなる。

【SD-BM102とSD-BMS101の調理メニュー比較】

品番 SD-BM102 SD-BMS101
発売日 2009年2月1日 2009年9月20日
自動メニュー 食パン
食パン早焼き
ソフト食パン
全粒粉パン
フランスパン
食パン
食パン早焼き
ソフト食パン
全粒粉パン
フランスパン
米粉100%(グルテン入り/なし)
蒸しパン
半自動 デニッシュ風食パン
メロンパン
デニッシュ風食パン
メロンパン
白パン
生地づくり パン/ピザ
うどん/パスタ生地
パン/ピザ
うどん/パスタ生地
価格(※3/15 Amazon.co.jp) 18,800円 25,498円

 白パン、蒸しパン、米粉パン……何と食欲を刺激する甘美な響きだろうか! 特に米粉パンは、このごろテレビCMや雑誌などで取り上げられる機会も多いが、実際に口にしたことはない。以前から試してみたかったところだ。

  てなわけで、使用する機種はパナソニックの「SD-BMS102」に決定。本製品から搭載された新メニューを中心に、蒸しパンは前半、白パンと米粉パンは 後半に紹介する。なお、従来モデルでも搭載されていた「メロンパン」や「全粒粉」、うどんやピザなどの「生地づくり」については、過去のレビューで詳細に紹介されているため、そちらをご参考いただきたい。



食パンは“ガリッ”なら通常モード、“フワッ”なら牛乳かソフトモード

 さて、新メニューが増えたとは言っても、ホームベーカリーの基本は食パンを作ること。前回のレビューのおさらいも含めて、まずは食パンから作ってみよう。

  調理方法はとにかく「簡単」の一言。所定量の小麦粉(強力粉)/バター/砂糖/塩/スキムミルク/水を「パンケース」という容器に入れ、ドライイーストを フタ内部の専用容器に入れる。あとはメニューで「食パン」を選んで、スタートすれば、できあがりを待つだけ。本当に簡単なので、最初はこんなモノでできる のかと不安になった。

まずは食パンを作る。パンケース中央にパンの羽根をセット 次に、ケース内に小麦粉(強力粉)/バター/砂糖/塩/スキムミルク/水を投入。結構テキトーに入れちゃったけど、大丈夫だろうか…… ドライイーストは、フタの中にある専用容器に入れる。自動投入なので簡単。ただし、投入時は「バチッ」という音が何度か鳴ってうるさい


 しかし、そんな不安も、完成後にフタを開ければすべて解決。キツネ色にこんがりと焼けた食パンが“早く食べてちょうだい!”と言わんばかりに、 ふっくらとふくらんでいるのだ。

 それでは一口……こんがりとした香ばしい味が口の中一杯に広がり、うまい! ……が、皮がちょっとガリッとしすぎな感も。中身ももうすこしソフトな方が個人的には好みなのだが……。

ちゃんと膨らんでいるじゃないですか! ちなみに、できあがりのタイマーが鳴った後は、すぐに取りだしてあら熱を取らないとしぼんでしまうらしい できあがりはキツネ色でとてもおいしそう 食べてみると、うーんおいしいんだけど、皮も中身もハードな食感。中身も空洞が多い。個人的にはソフトなのが好きなのだが……

 そこで、ソフトモードで改めて作ってみると、皮の部分はややシナッとしており、中身も全体的にふっくら、しっとりとした仕上がりになった。中身もきめ細かくて、香りも十分! 正直に言って、こっちの方が好みだ。

  説明書によると、牛乳を使うのも良いとのこと。そこで、水のかわりに牛乳を多めに入れ、さらいソフトモードで作ってみたところ、中身の味が甘く感じられ、 食感ももっちりとしている。何も付けなくてもとてもおいしい。これはお店で売っているパンよりもおいしいではないか! うますぎる!

個人的に大ヒットだったのが牛乳配合パン(ソフトモード)。焼き上がりの見た目の時点で、通常モードとは違う雰囲気 柔らかいので、パンナイフがスッと通ります このキメ細やかな表面を見よ! 中身がぎっしりと詰まっており、食感ももっちり。お店で売っているパンよりもおしい!


  以上、食パンの調理手順についてサラッと紹介したが、いかんともしがたいのが調理時間だ。通常の食パンモードは4時間、ソフトモードでは5時間もかかって しまう。パン作りに慣れている人なら“こんなもんだ”と思えるだろうが、初心者にはどうしても長く感じられる。もちろん、ドライイーストや干しぶどうなど は自動投入してくれるので、スタートボタンを入れて放っておくだけだが、“お腹空いたからパン焼こうっと”とスイッチを入れても、炊飯器のように1時間た らずではできない。朝食や夕食の時間に会うように、予約モードを使うのが賢い使用方法だろう。

 なお、2時間で焼き上げる「早焼き」モードもあるが、個人的な感想を言わせてもらえば、香りも味が足りない気がする。これは、調理時間を早めているため、寝かしや練り、発酵時間をカットしているせいだろう。よっぽど急ぎでない限りは、使わなくても良いだろう。

 というわけで、食パンに関しては、時間が掛かるけどそれ以外は超カンタン。しかも、分量さえ守っていれば、失敗することもほとんどなく、おいしく作ることができる。SD-BMS101は、“小さな労力で大きなリターン”という、夢のような家電製品だ。

デニッシュ風パンにも挑戦。パン生地にひと晩凍らせた1cm四方のバターをどんどん投入 ちょっと膨らみ型がイビツだが、何とかできあがった 味は確かにデニッシュ風! ただし、レシピ通りに作ると、市販品に比べると甘みは薄く感じられた

超簡単なスピードメニュー「蒸しパン」は、ホームベーカリーの幅を拡げる

 基本的な機能を紹介したところで、本製品から新たに搭載されたメニュー“白パン”、“蒸しパン”の作り方を見ていこう。

  両メニューを作るには、「スチームケース」という付属品を使用する。これは、食パンの調理に使用したパンケース上に載せて使用するもの。パンケース内に入 れた少量の水を沸かすことにより、そのスチームでスチームケース内のパンを、高温でなく中温で蒸すように加熱するのだ。

 ちなみにスチームケースを使った調理は、白パンが2時間45分、蒸しパンが35分と短い。特に蒸しパンの35分は、1時間以上の調理が当たり前のホームベーカリーの中では例外的だ。簡単そうなので、まずは「蒸しパン」から作ってみよう。

 まずは蒸しパンの生地作り。卵/砂糖/牛乳/サラダ油を混ぜ、そこに薄力粉とベーキングパウダーを加えてさらに混ぜる。この生地をスチームケースの中に入れれば生地づくりは終了だ。

 次に、羽根を取り外したスチームケースの中に35〜40℃のお湯を100mlだけ入れる。その上に、生地の入ったスチームケースを載せ、本体にセットして「蒸し」モードでスタートすれば、あとはたった35分でできあがりだ。

 できあがりのアラーム音でフタを開けると、これは誰がどう見ても蒸しパン! 説明書には、蒸し足りない時は“追い蒸し”をするよう書かれていたが、手順通りでまったく問題なかった。

蒸しパンを調理する際には、パンケースの中には生地ではなく、35〜40℃のお湯を100mlだけ入れる 生地はスチームケースの中に入れ、スチームケースをパンケースの上に載せる 本体にセットして35分調理すれば、あっという間に蒸しパンのできあがり!


  当然ながら、味も蒸しパン。ただし、コンビニで売っているものよりもふっくら・もっちりしており、断然こっちの方がおいしい。とはいえ、砂糖をドバッと 25gも使っているのをこの目で見ているため、中年太りに拍車が掛かりそうで怖いが……まあ、おいしいので良しとしよう。

 ちなみに、牛乳の代わりに市販のコーヒー牛乳を使った蒸しパンを作ってみたが、怖気づいて砂糖をまったく入れなかったため、味気ない仕上がりになってしまった。ここは“蒸しパンは甘いのが当然”と開き直って、強気に味付けするのが良いだろう。

できあがった蒸しパン。卵の黄身を多めに入れたので黄色が強く出ているが、これはどこからどう見ても蒸しパン。ふっくらしていて素朴な味。おいしい!
牛乳の代わりにコーヒー牛乳を使った“コーヒー蒸しパン”。見た目は良いが、砂糖を入れなかったため、ちょっと苦いだけの謎のパンになってしまった

 この蒸しパンの良いところは、味はもちろんだが、調理時間が短いところだ。調理時間が長いのが当たり前のホームベーカリーに、“すぐに作れる”という新たな選択肢が加わることになった。これは意外と大きな前進ではないだろうか。

 また、調理時間もそうだが、準備も材料を混ぜるだけと簡単。ちょっと小腹が空いたときにチョイチョイッと作る、なんてのも大丈夫だ。

 なお、当然ながら1回に1個しか作れないが、かなり大きいので数人で分けて食べるのにもまったく問題ない。子供が多い家庭でも、ちゃんと切り分ければ、取り合いになる心配もないだろう。


 それでは、もう一つのスチームメニュー「白パン」を紹介したいが……ちょっと分量が多いので、明日に回すことにする。後半は、白パンと米粉100%パンにチャレンジ。中途半端で申しわけないが、しばしお待ちを!


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